在籍確認のために偽装会社を利用するのは違法?
クレジットカードやローンの申込みをすると、在籍確認というものが行われます。
在籍確認では申込者が本当にその企業に勤めているかをチェックし、申告している年収の裏づけとして扱います。
働いている確認が取れないと所得があることの証明もできませんので、
在籍確認は審査の中でも重要な項目の一つなのです。
特にクレジットカードにキャッシング枠がある場合、カードローンでは各金融機関によって判断基準はことなりますが、銀行であれば100万円程度から、消費者金融では50万円以上の限度額を希望した場合、在籍確認が必要となることが多いでしょう。
在籍確認では必ずしも本人が電話口に出る必要はありません。「本日お休みしております」や「ただいま外出中です」など、働いていることさえわかれば作業は完了するのです。
クレジットカードやカードローンを作りたい人の中には、会社を申告したくない人もいます。
特に風俗系のお仕事をしている人や何かしら事情がある場合です。しかし契約する場合は勤務先の情報が必ず必要です。
そこで「在籍確認偽装会社」というものを利用する人がいます。在籍確認偽装会社では手数料や契約料を払っておくことで、会社に所属しているということにし、在籍確認の電話で対応をしてくれるのです。在籍確認偽装会社は多数のペーパーカンパニーを所有していることもあり、
源泉徴収票や給料明細などの文書を発行してくれます。
それらの文書は公式なものとしてローンの契約などに利用することができます。法律上、正式に登記されている会社が文書を発行する場合、内容が間違っているものでも罪に問われることはありません。
しかし文書を取得したものが、内容に間違いがあると知りながら悪用することに関しては、詐欺罪や偽造公文書行使罪に問われることがあります。
実際2011年にはローンの契約のために在籍確認偽装会社を利用した人が有罪となってしまいました。
実刑2年、執行猶予5年の判決でした。ローンの契約などでいくら在籍確認を避けたいからと言って、在籍確認偽装会社を利用することは辞めましょう。
また、偽造した源泉徴収票や給料明細でローンを組んだ場合、もう1つのリスクがあります。給料明細に記入される金額は選択することができるため、実際の収入より高い金額を発行することもできます。
収入が高いと判断されれば大きな与信枠(限度額)を貰うことができますが、もし借金が大きく膨らみすぎて破綻した場合でも、自己破産することができなくなる可能性があります。
また、文書が偽造だったことがわかれば借入先から訴えられたり、賠償責任に問われる可能性もあります。
刑事事件として扱われれば刑務所行きになってしまうこともありますので、金融機関に提出する書類はただの紙だと思ってはいけません。
2016年度から導入されるマイナンバー制度によって、こういった偽装会社を利用してクレジットカードやカードローンの契約することは非常に難しくなるでしょう。
マイナンバー制度によって勤務先や税金が一元管理されます。
さらに今後は銀行の口座も紐付けされる予定であり、マイナンバー制度が広く浸透すればどこかで数字があわなくなっていることがばれてしまうのです。
もし現在偽装会社で作った所得証明を提出している人がいる場合、早急に修正しておいたほうが良いでしょう。
収入が高く申告されていれば、それだけ納税をしていなくてはいけないことになります。
金融機関が地方自治体と直接繋がっているわけではありませんが、もし不審に思われるようなきっかけがあった場合、詐欺として扱われてしまうリスクがあるためです。
金融機関に提出する書類は必ず正式なものを使いましょう。
在籍確認の際に使われるアリバイ会社とは あんまり使わないほうがいい?
在籍確認の際に使われるアリバイ会社とは、料金を支払うことで実際には勤務していなくても在籍しているように応対してくれる会社のことです。便利に思えますが、かなり問題のある方法であるため、基本的に利用しない方が良いです。
まず、同じ電話番号を使い回している場合、それが金融機関に記録されます。そのため、その番号を最初に利用した人はバレずに審査に通る可能性がありますが、それ以降であればバレる可能性が高くなります。
また、他の人がバレたときに契約済みの人に何も罰則がないというわけにはいかず、虚偽の申請をしているため規約違反となって強制解約され、借り入れ残高は一括で返済するように求められます。強制解約は個人信用情報機関にも記録されるため、他の金融機関で契約してお金を借りようとしても審査に通らなくなってしまいます。
アリバイ会社を使って審査に通ることができたとしても、実態を偽っているだけで自分に本当に勤務実態ができて収入が増えるわけではありません。
収入に釣り合っていない融資を受ければ返済できなくなり、債務整理に陥ります。このときにも虚偽の申請で借りたことが問題になります。債務整理にもいくつかの方法がありますが、任意整理のような債権者と交渉して借り入れを減額してもらう場合、相手に与える影響は最悪となり、交渉に応じてもらえなくなります。
自己破産の場合も手続きをすれば通るものではないので問題になります。まず、免責不許可事由というものがあり、これに該当していると免責が受けられず、債務の返済義務がなくなりません。様々なものがあり、その中に虚偽の申告による借り入れも含まれています。実際には該当していても絶対に免責されないわけではなく、裁判官の判断によって免責が認められることも少なくありません。
しかし、債権者から不服申し立てがあり、再審議となって覆るケースもあります。このように安易に利用すると返済できなくなったときに借金から逃れられない場合があることは十分に把握しておかなければなりません。
アリバイ会社にも様々なものがあり、架空の会社を使うようなところではすぐにバレますが、一流企業と連携して行っている場合はバレにくくなります。しかし、気を抜いて金融機関との受け答えで矛盾が生じたりするとバレる危険性があります。
また、成功報酬制や全額返金保証を行っているところもありますが、そのような制度があれば失敗してもお金を払わなくて良いので安心、ということではありません。このような不正行為は金融機関に記録されてしまうので、改めて申し込みを行っても審査に通らなくなります。
利用する前に本当に必要なのか十分に検討した方が良いでしょう。勤務先への在籍確認を避けたい理由として、単に周囲に知られたくないというだけであればそれほど気にすることはありません。一般的にローンやキャッシングの利用は解雇するための正当な理由にはならず、自己破産に陥った場合であっても資格制限に該当する職種でない限り影響しません。
また、プライバシーに配慮して確認を行い、担当者の個人名で電話をしてくるため、気付かれる危険性は少ないです。電話番号を調べれば分かってしまうこともありますが、これにも対処方法はあります。
まず、銀行から借り入れをする場合には個人名ではなく銀行名を名乗るように指定することができます。名乗らせておくことで知られても不都合がない要件であると印象付けることができ、様々なサービスがあるため詮索好きな人に追及されても容易に誤魔化せます。
消費者金融の場合は電話ではなく社員証や保険証、直近の給与明細で代用してくれるところがあるので、これを使えば回避できます。
一部の銀行しか対応していませんが、在籍確認を行わないものもあります。そもそも本当に収入があるか確認するためのものなので、収入不問になっていれば省略されます。
これは本人が無職でも家族が返済できる、その銀行に口座があるので実態が掴めているなどの理由によるもので、審査は行われるため、1人暮らしの無職などでは利用できません。
また、貸し倒れのリスクを軽減するため金利は高く、限度額は低くなります。勤務先への電話確認が必須になっているローンやキャッシングもありますが、これが理由の場合も前述のように電話以外で確認できる、または確認自体を省略できるものがあるため、それを利用すればした方が良いでしょう。
通常であれば在籍確認は審査の終わりに行われるものなので、ここまで進んでいればほぼ審査に通る状態になっています。ここでアリバイ会社を使ったことで落ちてしまい、他社の審査にも悪影響が出るのは良い方法とは言えません。
働いていないので勤務先が存在せず、在籍確認できないのでアリバイ会社を使うのはやめましょう。返済の見通しがないのにお金を借りるという行為自体が問題があるので、借りずに済むようにしなければなりません。